2018年02月28日

窓の外の人達

NOA(中2)

 秋の雨は冷たい。だから家でゲームをする。外に出て遊ばなくてもいいのだから。家の中はヒーターがついていて暖かい。外とは違って。

「ポツポツ、ザーザー。」
 窓に当たる雨の音が心地良い。
 そう思うと同時に、この窓の外で苦しんでいる人がいると思うと、自分はここにいていいのか?と思ってしまう。
 しかし何も出来ない。神に祈ることで他人を助けようとする人もいる。そうしても何も起こらないし、誰も助からない。僕は本当に無力だ。他人事と簡単に切り捨てられるが、そうすべきではない。せめてもと、ユニセフなどのボランティアの箱にお金を入れるが、助けている実感がない。
 大人になったら、出来るかぎり他人を助ける人間になりたい。

 秋の雨は冷たい。でも外ではもっと冷たい思いをしている人達がいる。この人達が助かるように。今の僕は祈ることしか出来ない。叶わないと分かっていても。



この作文のテーマは「秋の雨」。もっと早く掲載するはずが、僕の仕事の遅さで遅くなってしまいました。ごめんなさい!

課題は「秋の雨」から連想することを自由に書くことでした。
主人公は暖かい部屋に守られて心地良く雨の音を聞いているのですが、思いは窓の外の人達へと飛んで行きます。そして自分とはまるで違う境遇に身を置き、苦しんでいる人々を思い、彼の葛藤が始まります。
決してロマンチックにあるいは英雄的に人助けをすることを想像するのではなく、むしろ自分の無力さに気づいているところにNOA君らしさが出ていて、自分の考えを率直に書いてくれていることが伝わってきます。もっともそこまでであれば上手に書けた作文で終わるところなのですが、さらに彼は、今できる行動をし(ユニセフの募金など)、それでもなお無力感を抱えているということまで書いてくれました。最後には、一度は自ら否定した「祈ること」しか今はできないと認めつつ、大人になったら人を助けたいとも書いてくれました。その内容から、NOA君が作文を書く時に、書かされているのではなく、自分で考えて、しっかり課題に向き合っていることが感じられました。
NOA君の作文を読んでいると中学生になってからの精神的な変化や成長が強く伝わってきてびっくりすることがあります。他者への優しい感情が芽生え、育っていく過程は、美しい草花の成長を見るように素晴らしい光景を見ているようでもあり、この仕事をしている上での大きな喜びです。素晴らしい作文でした。

塾長


posted by 塾長 at 13:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介

2018年02月08日

ぼくはめずらしい

REO(小6)

 こんにちは、ぼくは何の花か分からないつぼみだ。ぼくは木さんの根っこから栄養を分け与えてもらっている。
 今この時期につぼみができるのはめずらしい。だからぼくはめずらしい。めずらしいから咲いたらきれいな花になるに違いない。
 そう思っていたら枝が急にゆれ始めた。
「わぁ〜!やめろ〜!!」
 と言った。ゆらしていたのはメガネをかけている小さな人間だった。
「やめろ!ぼくはめずらしいんだぞ!」
 と言った瞬間ゆれがおさまった。そして小さな人間も去っていった。



 毎日寒い日が続いていますが暦の上では立春を過ぎてもう春。ちょっと寒いのを我慢しながら「春のきざし」を探す散歩をしてみました。
 散歩中、僕らは緑道の木の枝の先につく、膨らみ始めた蕾を見たのですが、REO君はそのつぼみの気持ちになってこの作文を書いてくれたようです。
 自分を「ちょっとめずらしい」存在として自慢げに語る蕾が可愛らしく、また、皆と同じであることでなく、めずらしいということに価値を見出しているところに面白みを感じました。
 ところで木を揺らす少年はREO君本人です。木の枝の先から自分を見下ろすような視点を使って書かれた作文は、可愛いながらも、工夫を感じる高度なもので、ちょっとめずらしい作文でした。

塾長

posted by 塾長 at 11:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。