2016年09月07日

夏が終わる瞬間。

HARUNO(中3)

 テニスコートに上がると、蝉が一匹ひっくり返っているのが見えた。
「うわっ!うえぇぇぇ……。」
 目の前にいるのに気が付かなかった友人が、飛び上がった。私も蝉が苦手だ。あのミーンミーンという大音量で永遠と続く鳴き声を聞いていると、なぜか無性にイライラする。
 
 部活が始まった。私はこの夏、更にテニスが好きになった。今は何をするよりもボールを打っている時間が楽しいし、好きだ。上手く打てなくて焦って、モヤモヤしている自分が嫌いになることもあるけれど、それ以上に上手くプレイできた時の喜びが大きい。沢山の失敗があるからこそ、たまにある成功が嬉しい。

 部活をしばらくやっていると、ゴロゴロと雷の音が聞こえてきた。でも先輩達は部活を中断しなかった。私達はボールを打ち続けた。空は厚い入道雲に覆われていて曇っている。  
この頃、急に天気が変わることが多い。晴天でジリジリとした暑さが長く続くことが少なくなった。
 合宿暑かったなぁ……。四日間暑くて、疲れたけど、本当に楽しかった。テニスが思う存分楽しめた頃を思い出すと、もう一回行きたくなる。中学最後の合宿が終わり、もう「先輩!先輩!」と言う回数が減るのだと思うと本当に悲しくなる。

 いつの間にか、雷は鳴り終わり、少し太陽が顔を出した。気付けば夏休み最後の部活だし、宿題は終わっていない。もう、登校日までは宿題しか待っていないと思うと、辛くなる。

 部活の反省が始まった。反省の途中、校舎に何回も当たりながらも強く鳴いている蝉を一匹見つけた。ずっと見つめていると、もう死んじゃうのかな…と思って悲しくなった。少しすると、その蝉の声が聞こえなくなった。その途端、私の夏も終わった気がした。



 夏休みの最後の部活動の日、筆者はこの夏を振り返ります。ひと夏を超え、テニスの楽しさや部活の時間の大切さに改めて気づき、過ぎていく夏を惜しむうちに、これまでは苦手としか思わなかった蝉の死に対する感じ方にも変化が見られるようです。命の儚さを感じ、移ろいゆく時の流れに心が動くようになるのも大人への成長なのでしょう。夏が終わると感じた瞬間を捉えた最後の段落、見事でした。

塾長

posted by 塾長 at 09:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。