2016年12月08日

魔法の煙突

KOTARO.I(中3)

 僕の家には煙突がある。だが僕の家の煙突は普通じゃない。欲しいものを紙に書いて燃やすと、次の日暖炉にそれが届くという優れものだ。
 だがこの煙突に頼めば、なんでもかんでも出てくるわけではない。しっかりとルールがある。一つ目は、一日一個までである。二つ目は、お金や生き物は頼んでも届かないというものだ。そして、今日はこのことを自慢するために、親友のアホ田君を家に呼んだ。

「ピンポーン。」 
 とベルがなった。
「あっ来たかアホ田君。」
 と僕は言った。アホ田君が家にやって来た。
 僕はアホ田君にこのことを先に話すと危険なので、最初はゲームをして、アホ田君が帰る時になったら打ち明けようと決めた。
 アホ田君が帰る時が来てしまった。僕は煙突のことをアホ田君に打ち明けた。すると、アホ田君は何も言わずにペンと紙を取り出した。
「どうしたの?何か欲しい物でもあるの?」
 と僕はたずねた。
「だまれベンソン!」
 とアホ田君が言った。
「ぼくはベンソンじゃないよ、たけしだよ。」
 と言ったが、返答はなかった。書き終わるとアホ田君はその紙を燃やしてしまった。結局何を書いたか見ることはできなかった。

 次の日、僕は寝坊してしまった。起きると僕はすぐに家を飛び出した。学校に着くと、アホ田君に会った。
「昨日は何を頼んだの?」
 と僕は聞いた。
「秘密だよ。」
 とアホ田君が答えた。学校が終わると僕はすぐに家に向かった。普段は、アホ田君と帰っていたが、今日はそういう気分ではなかった。
 家に着くと、僕はすぐにアホ田君が何を頼んだか確かめるために暖炉に走っていった。走っていると足をすべらせ僕は頭を打ってしまった。
「ギャー。」
 と僕は声をあげた。しかし、あきらめるわけにはいかない。僕は激痛をがまんしながら床にはいつくばって暖炉へと移動した。
 暖炉に着くと、あるものが届いていた。
「ケーキだ。なんでだろう?」
 そこにはお誕生日おめでとうと書いてあった。僕の目から涙がこぼれた。
「今日僕の誕生日だ。」
 アホ田君が何を頼んだか分かった。

 その出来事からアホ田君とは大親友になった。この煙突の秘密は僕とアホ田君しかしらない。




 今回紹介したのは、煙突というキーワードを使っての創作です。この季節だけに、煙突とくればサンタクロースの話にすれば簡単なところを、KOTARO君はあえて別のアイディアで書いてくれました。

 さて、こういう便利な道具の話を書く場合、なんでもかんでも願いが叶うようにすると、いまひとつ現実味にかけてしまう面があるのですが、KOTARO君はあらかじめ、「一日一個まで。」「お金や生き物は頼んでも届かない。」とルールを決めることで、物語に安定感を与えることに成功しています。思いつきで書いているのでなく、書く前にきちんとアイディアを整理しているのが伝わってきます。だからと言って堅苦しい真面目過ぎる物語になることもなく、友人の名前がアホ田君だったり、「だまれベンソン!」「ぼくはベンソンじゃないよ、たけしだよ。」というようなやりとりがあったりと、どこかナンセンスな雰囲気さえ漂わせているところがKOTARO君ならではも持ち味です。おまけに最後にそのアホ田君がいい奴で読む人をジーンとさせるのですから、本当に自由自在に原稿用紙の上で楽しんでいるようでさえあります。書くときはいつもじっくり考えてから書き始める彼の作品は、毎回なんらかのアイディアを生かそうという試みが見えて、読んでいるこちらも楽しませてもらっています。

塾長

posted by 塾長 at 14:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。