2017年07月29日

「マニュアル通り」

NOA(中2)

「いらっしゃいませ。」
 いつも聞く言葉でコンビニの店員が迎える。これでこの言葉を聞くのは何回目だろう?数え切れないほど聞いた気がする。
 店員は普段あまり見ていないが改めて見るとすごく無愛想に思える。
「四点で三九八円になりまーす。」
「新発売の唐揚げはいりませんかー?」
 マニュアルに書いてありそうなこと以外は何も口にしない。嫌そうな顔はしていないが、嬉しそうな顔もしない。
 最近思い始めてきた。多数の仕事の社員はロボットやAIなどと入れ替わると思う。どうせ店員が無愛想でマニュアル以外の方法でサービスしないなら、ロボットとか機械と入れ替えても問題ないのではないか?逆に効率が良くなる気がする。
 実際は、これが起きれば多数の人が仕事を失うけど。
「次のお客様どうぞー。」
 前の人が終わり、僕たちが呼ばれる。
「ピッピッピ。」
 持ってきた商品のバーコードを一つずつ機械で取っていく。真顔だ。
「三点で三百八十二円になります。」
 前の人と同じ対応だ。当たり前だろうけど。そのまま外に向かう。
 店員がマニュアル通りにしか動かないならAIか機械と入れ替わった方がいいと思う。




 『コンビニに買い物に行く際に、そこで働く方々の様子を観察する』という課題に対する作文です。
 僕の予想では、コンビニでテキパキと働く方々の忙しそうな様子が描かれると思っていたのですが、いきなり冷静な評価と合理性を求めるかのような文章に驚かされました。働く大人としてはなかなか耳が痛いところです。常に心と頭を働かせて、マニュアル以上のことをするというのは必要だとはわかっていても、実践できていない場合は多いのではないでしょうか。中学2年生のNOA君がまるで経済アナリストのような、あるいは経営者のような目で、厳しく働く大人を観察していることにはびっくりしました。
 ところで、作文を読ませてもらった後に、ではロボットではなく、人間が働く場合の良いところはないのか?と聞いてみたところ、店員さんがふと見せてくれる笑顔はやはり嬉しいとのこと。NOA君の中には合理性を求める心だけでなく、人の温かさに対する感情もきちんと育っていることがわかりました。
 それにしても今回の目線から、彼が将来経営者になった会社は業績を伸ばしそうだなぁ、などと一人想像して感心してしまいました。

by 塾長

posted by 塾長 at 12:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。