2018年03月30日

僕達のために

KOYO(中2)

「今日が満開の模様です。」
 夜、桜を見ていると、そんなことをニュースで言っていたことがふんわり頭に浮かんだ。
 桜は街灯に照らされ、花びらが透けている。桜の下ではブルーシートを敷いて花見をしていた。人々はビールを片手に仲間達と話すことに夢中になっていた。桜なんか見ずに。しかし桜は人を上からそっと見守っていた。

 枝が切られている桜の木を見つけた。それは、人が除いたのだろう。決して細くはない丈夫な枝は、つぼみを作ることすらも許されなかった。僕達は見られないが、その枝は空へ年輪を見せているだろう。彼が生きてきた時間を。時間は止められない。枝は、過去に振り回されず、後ろを振り向かず、空にまた新しい時間を見せてくれるだろう。そして、白い花びらを産み、その下で僕達が花見をするのを見守り、いつものように、無視されても許してくれるはずだ。



「桜」と「時間」の二つのキーワードを入れて書くという課題に対する作文です。

 まず目についてたのは「ふんわり頭に浮かんだ」の部分。桜のことを書いているのではないのに、どこかテーマである満開の桜の花を連想させる表現で上手い書き出しです。

 やや身勝手に読める人々の姿はKOYO君の大人社会に対するやんわりとした批判精神の表れでしょうか。その後に来る桜に対する表現と実に対照的です。
 不条理な出来事や過去に対して、振り回されず、振り向かず、自分らしく生き生きと過ごし、他者に対しては寛大である桜の姿は、KOYO君の中にある自然や地球に対する畏怖心の表れであると同時に、KOYO君の求める人としての理想像にも読めます。
 正義感が強く、まっすぐであろうとする書き手の気持ちが伝わって来る作文でした。

塾長


posted by 塾長 at 13:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。