2018年03月31日

桜の楽しみ

SHINOMI(中3)

 「あはははっ。」
 花見。緑道では毎年のように、お花見をしている人たちが沢山いる。片手にビール。もう片方の手には、団子ではなく、焼き鳥または、チーかま。枝豆をくわえている人もいる。アルコールが回ると帰れなくなってしまう人は、焼き鳥やみたらし団子を食べていた。久しぶりに会う友達。毎日のように顔を合わせている会社の同僚。観光。散歩のついでに花見を楽しむ人。色々な人が同じ場所で色々な話をしていた。時が経つことを忘れて、個人の世界に入り込んでいる人もいた。
 どの人にも共通していることは、笑顔だということだ。皆につられて笑ってしまう人や、なぜ面白いのかわからないが笑っている人。アルコールを飲んで気持ちがウキウキして笑っている人。中には皆に合わせて笑っている人がいるかもしれないが、それでもどことなく楽しそうだった。

 そんな光景を桜は毎年見ている。人間が桜を見て楽しむように、桜も人間を見て楽しんでいるに違いない。人がいなくなると、緑道はしんとなり、桜も少し寂しそうに見える。
 人が楽しい時間を短く感じるように、桜も楽しい時間を短く感じているんだ。きっと今も、緑道で楽しんでいるやつがいるはずだ…。




 花見客が食べている物、飲んでいる物の観察から始まり、次にどんな関係の人々がそこに集まっているのかに触れながら、一見バラバラに見える花見客について、SHINOMIさんは笑顔という共通項を見つけ出します。まずその手法に上手いなと感心しました。ただその反面、誰もが笑顔というのは少々都合が良いのではないかなぁ、と感じつつ読み進めました。すると、つられて笑ってしまう笑顔、理由もわからず笑ってしまう笑顔、周りに合わせて作っている笑顔、アルコールによる笑顔…と単純に心から笑っているわけではない笑顔が次々に挙げられていきます。そして、そのどれもが結局はどことなく楽しそうだとSHINOMIさんは捉えるのです。ここまで読んで、なるほどと腑に落ちました。確かに心からのパーフェクトな笑顔でなくても、皆が楽しい時間を過ごそうと思っているし、結果楽しめているし、そういう状況を作り出す効果が花見にはあるのだと気付きました。人付き合いの悪い僕などは、大勢で行く花見には初めから腰が引けてしまいご遠慮することも多いのですが、一人一人が少しでも笑顔になれて、そういう笑顔が集まればきっとそこは幸せな空間になるのですね。花見というものに対する考え方が、僕よりSHINOMIさんの方がよっぽど大人だし、素敵だなぁと感じました。
 さらにこの作文で良いなぁと思うのは、人間が楽しんでいる様子を、桜もまた楽しんでくれているという考え方です。そう理解してから読むとタイトルもなかなか意味が深いですね。
 人と桜がひと時を共にし、そこに幸せな空間が生まれるというなんとも平和で穏やかな世界。人と自然の共生について、少し前向きな気持ちにしてくれる作文でした。

塾長


posted by 塾長 at 13:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。