KOKORO(小6)
「あっカエル。」
そのカエルは、茶色で六センチメートルくらいだ。ピョンッ。カエルはすぐに青々としたしげみの中にかくれてしまった。しげみはひざくらいまであり、蚊もたくさんいた。
「やめよ。」
と言って私はしげみに入るのをやめた。その時に二センチメートルくらいのカエルが二匹出てきた。また、茶色だ。私は、ゆっくり近づいて行った。カエルの後ろまで行くと、親指と中指でつまんだ。そして頭を人差し指で抑えて飛びはねないようにしながら取った。もう一匹も同じように取った。捕まえた二匹ともかごの中に入れた。
妹たちも魚を捕まえたらしく、私の方まで来て、見せてくれた。
「ふうん、小さいね。」
と言うと、
「でも、すごいでしょ。」
と言ってきた。妹が取れるのも当たり前。あみを持っていたから。適当にやっていても捕まえられる。
「あ〜そうですね。すごいですね。」
私はうんざりしたので適当に返すと、
「ここは、何捕まえたのよ。」
とムッとした口調で言われた。
「カエルだけ。もっと捕まえたいんだからあっち行ってて。」
と言っても、なかなか動く様子がない。一回上がることにした。その時。ピョンピョン。見てみると、カエルがたくさんいた。湿っているところが好きなカエルたちは、木の下にたくさんいる。五、六匹捕まえた。その中にあの六センチメートルのカエルもいた。
「ここ〜ちょっと来て。」
と私を呼ぶ父の声がした。
「は〜い。なあに。」
と言うと、
「上流の方行くって。」
母が言った。でも声が聞こえてくる方は、私がいるところより下流だ。
「早く〜。」
弟の声だ。
「はいよ。今行く。」
川に入り、声のする方へ行った。もう一つ分かれ道があり、私はゴツゴツした岩がたくさんある方へ行こうとしていた。
「え〜そんなとこ行くの。けがしそう。」
予想通りけがをした。それは私だ。くつが流されそうになり、取ろうととしたら突き指。川の水で冷やしていられたのであまり痛くなかったけれど。
「そろそろ帰るよ。」
母がのんびりした口調で言ってきた。
「カエル逃してなかった。」
と言って私は虫かごを開けた。カエルを逃がすと妹がそのカエルを捕まえて、水に落とした。私は大きいやつを地面に置いた。ピョンピョンとカエルは元気にとびはねて行った。
夏休みの出来とごとについて書いてもらいました。
家族で過ごす休日の作文というと、ややもするとただ楽しいばかりの作文になりがちです。でも、この作文の中で印象的なのは、姉妹のちょっとしたライバル心や、少六の女の子だからこその少しピリピリした空気感でした。姉妹二人の会話はどこの兄弟や姉妹にもありそうなもので、二人の関係性が上手に描かれていてリアルです。その一方でカエルを見つけた場所やその捕まえ方など、実際に経験したからこそかける情報が多く、自然に対する生き生きとした描写が多く見られました。逃したカエルが最後にピョンピョンと元気に去って行く描写からは、自然に対する筆者の愛情も感じられます。
ところで本人に聞くと、姉妹の関係性にしても自然に対する考え方にしても、そこまで狙って書いてはいるわけではないとのこと。でも無意識だとしても、これらを入れられたことにはセンスの良さを感じました。
KOKOROさんは書き始めて5ヶ月ほど。まだあまり多くを求めるのは酷な時期ですが、この作文は、今のKOKOROさんらしさが滲み出ていて、素敵な一編になりました。
塾長
2018年09月21日
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