2019年03月15日

ぼくのミス

HARUKI(小6)

 「あと少し。」
 またミスった。神のテル君がいるが、一対0で押されている。敵は、カードのこっそり交換などをする疑いがある。そのようなことでぼくたちのジャマをしてくる。そのおかげで、テル君の十のセットが七とまちがえてなかなかそろわない。
 最終ターンで敵が六を引いてくれた。これで六が四枚そろった。しかし、テル君がまたミスして、七を引いてしまった。
 ぼくのターン。まず一枚目を引く。正解だった。そして二枚目を引く。まちがえた。六をさがして三枚目を引く。またまちがえた。ついに運命の四枚目…。なんと、ちがうカードだった。
 さらに、ぼくは、大ミスをしてしまった。ここでテル君に代わるところが、ぼくは、そのまま引いてしまった。そのおかげで負けてしまった。もし仮にここでテル君に代わっていたら、勝てていただろう。その後、テル君と少しケンカになった。
 テル君「なんで引いたんだよ。」
 自分「おまえ七引いてたじゃん。」
 ……
 でも実際にここでぼくが代わっていたら勝てていたから、ぼくのミスで負けたのだ。



この作文はトランプの神経衰弱をしているシーンを描いたものです。ただし当塾の神経衰弱はちょっと特殊でトランプ2セットを使って行います。ですから同じ数字が4枚揃って初めてポイントになるという過酷なルールなのです。4枚揃えるのはなかなか難しく、子どもたちはチーム内で協力しながら、少々ムキになるくらいの真剣さで取り組んでいるのです。
主人公HARUKI君のチームは1ポイントの劣勢ではあるものの、チームの最後のターンを前にどうやら六のカードの居場所を4枚分把握し、まさに同点のチャンスを迎えたあたりから作文は書かれています。

さて、今回この作文を紹介しようと思ったのは、この作文を授業の最後に音読した際、教室にちょっとした感動の空気が流れたからです。作文にもあるように神経衰弱を終えた段階では、HARUKI君とテル君のチームは気まずい雰囲気で終わっています。しかし、いざ作文を書き始めると、HARUKI君は冷静に負けた瞬間を描きつつ、その敗因は自分にあったと理解し、それを素直に文章にしてみせたのです。自分のミスを認めて、それを表明するという大人でも難しい行為を、作文の中で潔くやったことは脇で見ている僕にも驚きでしたし、ちょっとした清々しさを感じました。この作文を聞いていた短い時間にテル君の表情が見る見る変わっていったのも印象的でした。
HARUKI君自身、この作文で自分の落ち度を認めることで随分気持ちが軽くなったように見えました。2人はスッキリした顔で授業を終えました。
文章を書くことで心の整理をし、自分の心の中に鬱屈してしまいかねない思いを素直に文章にできたことは、これまでのHARUKI君にはなかったことで、この作文は単に神経衰弱の様子を書いただけではなく、HARUKI君の成長の瞬間の記録となりました。

塾長





posted by 塾長 at 12:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。