2012年12月16日

「ナイスキャッチ」A

KAORI(高3)

今日はいつもより暑い。川が太陽の光でキラキラしている。少し強い風が涼しくて気持ち良い。
「あっ。おばあちゃん、頭に葉っぱついてる!あれ?今日は、おじいちゃんいないの?」
私は、おばあちゃんの頭についている葉っぱを取りながら聞いた。
「もうすぐ、来るよ。」
「じゃあ、一緒に待つね!」
「ありがとう。」
「おじいちゃんと、いつもどんな話をしているの?」
「んー。なんだろうねぇー。秘密さっ。」
「えっ、気になるー。」
風が少し強く吹いた。葉っぱが一枚、二枚、三枚と散っていく。
「おーい。」
おじいちゃんがゆっくりと歩いてきた。右手を大きく振っている。私は大きく手を振り返した。おばあちゃんはニッコリと笑っている。おじいちゃんの頭にも、この桜の木から飛んでいった葉っぱがついている。
私は、おじいちゃんにあいさつしてから、ランニングを再開した。ランニングウェアが擦れる一定の音とスッスッハッハッという呼吸の音がリズミカルに調和している。この前、寝っ転がっていた芝生を横目に私はもう少し奥まで走ってみることにした。見慣れない景色を走っていると「パンッ。パンッ。」と音が聞こえてきた。(壁当てかな?)私は少し期待しながら音がする方へ向かった。この壁の反対側で誰かが壁当てをしている。高架下にボールの音が響き渡る。この前の彼だといいなと思いながら私は、深呼吸して「ランニングの途中で、たまたまです。」という雰囲気を出しながら反対側へ走った。スッスッハッハッ。
「あっ。こんにちは。」
期待通りこの前の彼だった。私はいつも走っている時に顔見知りの人達に言うように、さりげなく挨拶をしてみた。すると彼は、投げたボールをキャッチしないでこっちに体を向けて「こんにちは。」と野球部のあの挨拶をしてくれた。頭を上げた彼と目があった。
「あっ。この前はボールを取って下さって、ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
私はそう言いながら少し笑ってしまった。丁寧過ぎてなんだか面白い。端っこに置いてあるエナメルバッグを見てみると桜月高校という名前が書いてあった。私が高校名を見ているのに気がついた彼は自己紹介してくれた。
「桜月高校、三年野球部、坂本大輔です。」
「桜月高校の隣のマンションに住んでいて桜月女子美大の木本みやびです。」
私はすかさず挨拶をした。(名前まで野球少年って感じで素敵だなー。)

「ナイスキャッチ」Bに続く

「ナイスキャッチ」@から読む
posted by 塾長 at 09:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 週一連載小説
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。