2012年12月23日

「ナイスキャッチ」B

KAORI(高3)

 十二時三十分、起床。やらかした。授業はもう終わっている。調子に乗って海外ドラマ見すぎちゃった。夕方の授業だけ出ることにしよう。私はカーテンを開けて伸びをした。奥にある洗面所の入口まで太陽の光が入ってくる。私は、歯磨きをしながら、ベランダのドアを思いっきり開けて、ベランダに出た。すると、チャイム音とほぼ同時に野球部やサッカー部が校庭に飛び出してきた。空っぽだった校庭が一気に活気付いた。ボールが飛び交っていて、人があちこち走り回っている。(五分もたたないうちに汗だくになるんだろうな。)今日は、昨日の雨が信じられないくらいの晴天。水溜りは一つも残ってなくて、校庭も完全に乾いているように見える。高校生の汗が太陽の光でキラキラしている。部屋に戻ろうとしたら聞き覚えのある声が聞こえてきた。大輔君だ。私は右足をベランダに戻して野球部がいる所を見た。鉄棒の近くでバッティングをしている大輔君がいた。土手ではピッチング姿しか見たことが無かったから、つい見入ってしまった。詳しいことは知らないけど、プロ野球選手みたいな体格とフォーム。高校生に見えない。J-WAVEから1時を知らせる曲が流れた。私はあせって部屋に戻り、メイクや学校へ行く準備をしてブランチをしにカフェへ出かけた。

 今まで三日に一回くらいしか走ってなかったけど、あれから毎日走っている。(もし、今日大輔君に会ったら、一昨日の昼休みの話をしようかな。)そう、何回か会っているうちに立ち話をするくらい仲良くなったのだ。前を走っているお兄さんがパーカーを脱いでタンクトップになった。土手で走り回っている小学生は半袖半ズボン、お散歩中のおじいちゃんはサンダルを履いている。私は新しいランニングウェアとシューズが欲しくなった。週末には買いに行こうかな。水色や青で爽やかな夏っぽいウェアにするかオレンジや黄色の明るい夏っぽいウェアにするか迷う。夏希さんについてきてもらおうかな。
 いつもの高架下まで来た。こっち側の景色にも慣れた。いつも走り回っている小学生の顔もお豆腐屋さんのお兄さんの顔も覚えた。今日は壁当ての音がしない。でも、ボールの音と話し声がする。私はいつも通り走りながら声をかけた。すると、大輔君もいつも通り挨拶してくれた。でも、もう一人の男の子はキョトンとしていた。邪魔しちゃ悪いと思って私は一言「がんばってね。」と言って止まらずに走った。もう一人の男の子は大輔君と同じジャージを着ていた。坊主だし野球部かな?今度ベランダから探してみよう。お話ししたかったな。でも、今年こそは甲子園に行きたいと話していたから、絶対邪魔しちゃいけない。高校生のうちに何か一つのことをやり遂げようとしていて凄いと思う。私は何もやり遂げられなかったから全力で応援したい。私はいつもより長く遠くまで走った。

「ナイスキャッチ」Cに続く


「ナイスキャッチ」@から読む

「ナイスキャッチ」Aから読む
posted by 塾長 at 23:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 週一連載小説
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プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。