2015年08月11日

キンキン

KAHO(小3)

 「ガリガリ。」
 かき氷機を回す。回すのが終わって、おさらをとって、一回目はカルピスをかけた。
 まずスプーンでおすと、
「ザクザク。」
 といって、食べた時
「シャリシャリ。」 
 といった。

 二回目に回した時は、一回目にやった時より氷が大きかったので、回すのがよりかたくなっていた。
 二回目はブルーハワイにした。ずっと食べていたら、べろが青くなってしまった。全部食べ終わったら、空みたいにもっとべろが青くなっていた。さいしょ見た、とうめいの氷とは、まったくちがう物に見えた。氷はつめたくて口の中が
「キンキン。」
 とした。




七月の最終週は、とにかく暑いので教室でかき氷。この時は八百円程度の手動の氷かき機を使って、各自が自分の分のかき氷を作って食べました。
KAHOさんはその時の様子と感じたことを小学三年生らしく、とても素直に書いてくれました。特にかき氷に関係する様々な音を、場面によって「ガリガリ」、「ザクザク」、「シャリシャリ」と使い分けているところに工夫が見られました。また、シロップで舌が青く染まる経験は多くの方に共感してもらえたのではないでしょうか。音や色を上手に使って、面白い作文になりました。

塾長


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2015年07月23日

かわいい頭(かしら)

KOTARO(中2)

 サーサー。
「雨がよく降るな、この月はまったく。」
 俺は真っ黒な猫。名前はジル。俺は雨が嫌いだ。
「あ〜雨だから寝よう。」

「あ〜光が眩しい、朝か。少しその辺を散歩しよう。」
 家の塀の上を歩き、細道に出て歩き始める。
「ジルさんおはようございます。」
「うん。」
 いつものように俺にあいさつをして後について来る。三十分ほど歩くと後について来る猫の数はざっと二百匹。これを見れば分かる通り、俺はこの辺を支配している。そう番長だ。

 細道を歩いていると何か変なものを見つけた。何だこれは、つるつるしていて、中から自分と似た顔のやつがこっちを見ている。臭いをかぐと、嫌な雨の臭いがした。
「お頭、なんですかこれは。」
 そう聞きながら、たくさんの猫がこっちに来た。猫が猫の上に重なって、それを見ていると一匹の猫がまちがって俺を押した。
 バチャン、雨だ。すぐにさっと雨のかたまりから出た。体を振って雨を落としていると、他の猫達がニヤニヤ笑いながら声をそろえて
「お頭かわいい〜。」
 と言ってきた。
 ブチッ、ガンガンガン、シュ〜。二百匹の猫の頭を猫パンチして住み家に戻った。

「あ〜気分が悪い。もう一回寝るか。」
 空は青く澄んでいた。




「ねこ」、「細道」、「水たまり」の三つを使って、即興で物語を作るという課題でした。
 猫達ののんびりとした世界がなんともユーモラスで、読んでいて穏やかな気持ちになります。特に上手かったのは「水たまり」の使い方。今回のように言葉を指定された作文だと、なんとかその言葉を文中に使うので精一杯という場合が多いのですが、KOTARO君はちゃんと意味のある使い方をしています。しかも「水たまり」という言葉そのものを使わずに『何だこれは、つるつるしていて……雨の臭いがした。』や『雨のかたまり』などと表現しています。そして「水たまり」を、猫達にとって未知で不思議なものとして表しました。このことが、物語の持つ穏やかで平和な世界観を作り上げるのに一役買っています。また子分の猫達を「猫パンチ」で殴るというのも、姿を想像するとなんだか可愛らしく、暴力的なイメージを持たせないのも上手いですね。どこまでもピースフルな余韻を与える最後の一文も素敵でした。

塾長


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2015年07月22日

First Live

MIREI(中2)

「ジャーン。」
「みなさんこんにちは!今回がファーストライブです。すんごく緊張しています。失敗するかもしれないけど!全力でいきます!」

 熱気のこもる部屋。先輩もお客さんもぎゅうぎゅうづめ。
 叫ぶ。
「Don’t say lazy!」

 鼓動が鳴り響く。マイクは震え、みんなの顔は硬直している。お客さんの方を向くともっと怖い。怖い。
 ドラムが唸り、ボーカルが叫ぶ。
「Please don’t say!」

 なんかもう……。終わった。
 精一杯歌うしかなくって、大声を出す。心が叫びたがってる。止められないくらい。鼓動はリズムを刻む。丁寧なピアノ。低音で支えるベース。バンドメンバーと心が共鳴しあった。
 間奏まで来た。エレキの声とともにドラムが乗ってくる。
 しかし、共鳴は崩れだした。タイミングを間違えた。
 ドラムがワンテンポ速くなり、全てが崩壊。必死に合わせようとした。けど、合わず。
「やばい、このままじゃ。」
 と思ったら、高三の先輩が手拍子を始めた。
「パチ、パチ、パチ、パチ。」
 その勢いに乗る。結局うちらは最後まで迷惑かけちゃったんだな、と思った。
 ごめんね先輩。
 高三の引退ライブなんだ今日は。(だから最後まで……。)
『だから たまに 休憩しちゃうんです♪』

 ファーストライブは終わってしまった。
 なんかほっとした。これを達成感というんだ。
「ハー、ハー。」
 成功しなかったけど、バンドとしての第一歩が踏み出せたような気がした。
「ありがとうございました!」
 感謝の気持ち、届いたかな?
 エレキの子が高三の先輩に抱きつく。
「そんな顔見せないでよ。」
「えーーん。」
 もらい泣きしちゃった。何か心の底からジワジワ出てきたんだ。



 中二になって、部活動でもだんだんと役割が重くなってくる中、初めてのライブに挑んだ際の様子を言葉通り「生」の臨場感たっぷりに書いてくれました。
 一人称の主語を省き、短い文を多用し、時には体言止めや倒置方で畳み掛けてと、終始スピード感のある文章でライブ感を出しています。それらを意識して技術的にやっているというよりは、この作文はMIREIさんの中にある言葉のリズムのままに一気に書かれた文章です。一曲の演奏時間は数分間といったところでしょうか。作文を読みながら、その短くも凝縮された時間を一緒に感じることができました。
 また、ライブが終わった後、仲間の様子にもらい泣きし心でつぶやく最後の一文、実に魅力的です。中高生時代ってこんな感じで駆け抜けるんだなぁと思い出させられます。この感じ、ちょっと懐かしくて羨ましくなりました。

塾長

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2015年07月19日

星(せい)月(げつ)眼鏡店

NATSUMI(大3)

 CDプレイヤーの電源を切った。静寂の落ちた店内に、私のヒールの音だけが響く。
 楓のフローリングを敷いた五角形の店内。その中央には黒檀とステンレスと硝子を組み合わせた大きな楕円形のテーブルが据えられ、きっちりと間隔を開けて眼鏡が並んでいた。金や銀の細いフレームは煌めき、鼈甲(べっこう)フレームは光を透かして甘い影を落としている。セルフレームは艶(つや)やかに光を跳ね返し、リムレスの硝子レンズはひときわ美しく輝く。窓に設けた細い棚には、己の魅力を声高に叫ぶでなく落ち着いた顔をした眼鏡が並んでいた。
 私は窓辺の眼鏡ひとつひとつにクリーム色の柔らかい布をかけ、中央のテーブルにはそれ自体を覆うようにふんわりと布をかぶせた。この布を取り、レンズを拭き、材質に合わせて丁寧に手入れするのが開店前の私の日課だ。
 店内の眼鏡すべてに布をかけ終わると、私は店のライトを消した。幾つもの丸いペンダントライトから、橙(だいだい)のあたたかさが消える。店内に、三日月の光が差し込んでいた。
 さて、と。一人呟いて、私は窓に背を向けた。店の奥の黒い扉を開けて、階段を上がる。

 リン、ゴーン……。
 古風なチャイムが、静かな店内を揺らした。私は本を閉じて階段へと向かう。とん、とん、とん。階段を下りきると、私は黒い扉を背に置いて、目の前の白い扉のノブを握った。
 開けた扉の外には、若い女性が俯いて立っていた。長い髪が肩から顔に落ち、夜気は熱をはらんでいるのに肩が小刻みに震えている。
「こんばんは」
「……い」
掠れた声。私は黙って身をかがめ、彼女の口元に耳を近づけた。リムレスのメガネが光る。
「もう見たくない……!」
「落ち着いて。さあ、どうぞ二階へ」
半身になって彼女を通してから、私は静かに裏口の戸を閉めた。彼女の震える吐息が、静かな店内にやけに大きく響いていた。

 星月眼鏡店は、タイル敷きの路地に並ぶ店の一つだ。他にも店が並ぶこの路地は、それ自体が小さな百貨店のようになっており、路地の入り口は夜間はフェンスが閉まっていた。
 しかし、星月眼鏡店には裏口がある。直接二階へ上がる階段につながった白い扉が、ひっそりと店の裏に存在しているのである。
 この店はただ眼鏡を売っているだけではない。もっと大切な仕事が、この店にはあった。

 「どうぞ、座ってください」
私は一人掛けのソファを女性に勧めて、彼女の眼鏡を預かった。チェストに置いた蓄音機を回し、革のトレーに乗せた眼鏡をその隣に置く。部屋の片隅のカウンターキッチンに回り込んで、私は薬缶を火にかけた。出窓に置いた蜜蝋燭に火を点けて、湯が沸くのを待つ。女性が座った背もたれの高い一人掛けのソファはカウンターキッチンに背を向けて置かれていて、私からは彼女の様子は見えなかった。店のちょうど真上のこの部屋も五角形で、部屋の中心には脚の長い小さな丸い机が置かれている。その上には浅い銀の水盆が載っていた。彼女はその前に座っている。ドーム状の天井の中央には五角形の硝子窓があり、星々が慎ましく顔をのぞかせていた。五枚の壁それぞれに開いた細い窓から差す仄かな月明かりがうっすらと室内を満たし、甘い香りを漂わせる蜜蝋燭の灯りが揺れる。音を立てる薬缶を火から下ろして茶葉に湯を注ぐと、淹れたての紅茶を手に私は女性の前に戻った。完全に放置していたように見えるこの時間、だが正面から見た彼女の呼吸は整っていた。
「落ち着きましたか」
「はい……。いつもいつも、取り乱していてすみません」
「構いません。ここは、そういうところです」
私は淡々と応じて、紅茶に口をつけた。
「それで、今日も、いつものように?」
「はい。やっぱり見えてしまうんです。……みんなの心の中」
こころのなか、と囁くように声を落とした女性は身震いして、縋るように紅茶に手を伸ばした。私は静かに席を立ち、棚から色とりどりの飴の詰まった硝子瓶を取り出した。蓋に飴をあけて探していた色を見つけると、蓋ごと彼女に差し出す。
「濃い緑色の飴をどうぞ。友人の自信作です」
「これ、何味ですか?」
「さあ。でもきっと、あなたにとって嫌いな味ではないと思いますよ」
おずおずと飴玉を摘まんだ彼女は、それをころりと口の中に放り込んだ。
「……なんだか、森みたいな味」
「森、食べたことあるのですか」
「ないですけど……。例えです」
くすりと笑った彼女に黙って微笑み返して、私は硝子瓶の蓋を閉めた。
「……さて、何を見たのか、聞いても?思い出したくなければ、構いませんが」
「いつも通りです……。笑ってても怒ってる人とか、泣いてても嗤ってる人とか、優しいことを言いながら馬鹿にしてる人とか。そういう心の中が、見えるんです。いつも通り」
「そうですか。前回いらっしゃったのは確か一カ月前だったと思いますが、効果切れはいつごろから?」
「前に来てから、二週間は大丈夫でした。そういうの、何にも見えなくて……。でもあとからまた少しずつ見え始めて、三日前からは眼鏡があってもなくても変わらないくらいに」
私は蓄音機の隣に置いた眼鏡を見た。フレームもレンズも一見綺麗に見えるが、本当の輝きとは程遠い。
「二週間しか保たなかった、という事ですね。前は確か一カ月は保っていたはずですが」
「はい……。やっぱり、私の症状、重くなっているんでしょうか?それとも、眼鏡に、」
「欠陥が、という事なら考えられます」
気を使って言葉を濁した彼女の、言わんとしていた言葉を躊躇なく引き取って、私はティーカップをソーサーに戻した。
「眼鏡に欠陥があること、あなたの症状が重くなっていること。どちらもあり得る話です」
「じゃあ、どうすれば……」
「とりあえずいつも通りです。あなたは休んだ方がいい。運のいいことに、今日は三日月です。天窓を覆わなくても、天球の星々を楽しめますよ。満月では、明るすぎますからね」
壁に細く切り取られた空を見て、私は部屋中の間接照明を落とした。ひとつふたつと、シェードのついたスタンドライトや磨り硝子の小さなペンダントライト、丸いフォルムのフロアライトから明かりが消えて行く。
「ソファ、楽にしていいですからね」
声をかけて、私は蜜蝋燭の火に覆いをかぶせた。
「では、始めましょうか」
私は彼女の真後ろに機械をセットして、かちりとスイッチを入れた。
「今の季節に合わせて、夏から秋に移ろう空を選ばせていただきました。今は人の心のことなんて、見たくもない世界のことなんて、全部忘れて、星座の中を泳ぎましょう?」
三日月の細い光だけが舞う暗い部屋に、天上の星々が広がった。蓄音機から流れる静かな音楽、蜜蝋燭のほのかな香り、煌めく星々、淡く照らす三日月。この部屋に、彼女を苦しめるものは何もない。十分もすると、彼女の息遣いは深くゆっくりと安定して、星々の中を散歩しに行ったのがわかった。
 私は足音を立てないようにヒールを脱ぐと、細窓からの三日月の光を受ける水盆に静かに水を注ぎいれた。そこに彼女の眼鏡をそっと滑り込ませる。水面に本物の月と人工の星が映りこみ、きらきらきらきら、内側から輝いた。
「彼女の目を、見えすぎてしまう心の目を、少しでも覆ってくれますように」
私の小さな祈りは、神様にも届かないような小さな祈りは、月と星が抱き留めてくれた。

 小さな声に、私は顔をあげた。向かいのソファで寝入っていた女性が、寝起き特有のゆっくりとした動作で身を起こしている。
「いい夢は、見られましたか?」
「なんだかふわふわ、きらきらした……。よく、覚えていないですけど」
「覚えていないくらいがちょうどいいのです」
ほら、と指さすと、彼女は首を傾げて部屋を見回した。淡い三日月と散らばる星々。
「このくらい曖昧な方が、本当はいいのです」
私はにこりと微笑むと、彼女に背を向けて水盆から眼鏡を取り上げた。リムレスの眼鏡からぽたぽたと落ちる水滴は水盆に波紋を作る。
「あなたと同じ景色の中で、身を休めてもらいました。処置はいつも通りですが、きっと、あなたの目からあなたの心を守ってくれる」
「どうして、そう言い切れるんです?」
私はそっと水滴を拭き取り、肩越しに笑った。
 「星と月に祈っておきましたから」

 「それではまた、辛くなったらいつでもいらしてください。お待ちしています」
女性を白い扉まで送って、私は頭を下げた。
「ありがとうございます。……あの、」
彼女は扉から一歩出たところで足を止めて振り返ると、眼鏡を外して小首を傾げた。
「私には人の心の中が見えてしまう。この眼鏡がなければ、否応なしに。……でも、眼鏡屋さんの心の中は、見えたことがないんです」
一体、なぜ?問いかける女性に、私は笑った。
「さあ……何故でしょうね」
ただ……。私は揺れる彼女の瞳を見た。
「そうあるべきだと、思っただけですよ」
 それでは、また。
 一礼を残して、私は扉を閉じた。

 見たい人には、見るための。
 見たくない人には。見ないための。
 大切な目、大切な心、お守りします。
 星月眼鏡店。




 夜の眼鏡屋さんを題材に短編の物語を書くという課題に対して書かれた作品です。長さは原稿用紙10枚以内という条件でした。

 実際に塾の近所の閉店後の眼鏡屋さんを外から眺めた後に書いてもらったのですが、まるで眼鏡屋さんの内部までくまなく見てきたかのような室内の描写は圧巻です。NATSUMIさんの培ってきたセンスと知識がほどよく使われていて、実に魅力的なお店ができあがりました。
 個人的には「覚えていないくらいがちょうどいいのです」、「このくらい曖昧な方が、本当はいいのです」というセリフに、作者NATSUMIさん自身が成長する過程で感じてきた様々な思いがそっと込められているようで、惹きつかられました。ストレスの多い社会に住む読者への優しいメッセージなのでしょうか。
 また物語の最後に残された「人の心が見えてしまう女性にも心が見えないという眼鏡屋さんは、普通の人間とはどこか違う存在なのか?」という小さな謎も心地よい余韻となり、続編を読みたくなる作品でした。

塾長

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2015年07月18日

オレンジの光

KEIJI(小6)

 遠くの電線がオレンジ色に光っている。目黒区の町を歩くとビルが多いため夕日の光と影が多い。夕日は、高いビルに届き、影は低いビルや家を美しく見せる。夕日のオレンジ色の光はとてもきれいだ。夕日が顔に当たると、とてもまぶしい。影は低い建物をつつみこむ。とても幻想的だ。大通りに出ると、一段ときれいに見える。周りの騒音を消すほどだ。夕日の色。静まり返る影。いつ見てもあきない。

 自由が丘公園に着くと、すべてが影につつみこまれていた。ここだけ空中に夕日をじゃまする板があるようだ。アンナとハナはブランコに乗り、サクラコ、ジュン、マサキ、タカトがアスレチックの周りで遊んでいる。自分とノアは雑談していた。
「行くよ〜。」
 先生の声が公園中に響いた。

 公園を出ると、ローソンに行った。ガリガリ君ソーダ味とスイカ味二つあった。自分はソーダ味を選んだ。ガリガリ君を食べながら、歩いているとソーダ味のガリガリ君の上の方がオレンジで下の方が暗かった。上を見るときれいなオレンジ色が輝いていた。



 この日のテーマは夕日と影。午後6時からの授業時間に散歩に出ると、低い位置の太陽が建物の間を通って差してきたり、ビルに反射したりしながら、町をオレンジ色に染めていきます。そんな中、いつも以上に夕日や、そこにできる影に注目してもらいました。
 KEIJI君は、とても素直に目に見えたものを文章にしてくれています。それが実に美しい描写へとつながりました。「夕日の色。静まり返る影」の部分、美しいと感じたものを並べた体言止めは、響きそのものが美しいです。それにしても「静まり返る影」とは、なんと魅力的な表現なのでしょう。視覚的にも聴覚的にも想像力をかきたてられます。その後も、子供たちの自然な様子と夕暮れ時の色彩に溢れた実に印象的な作文になりました。

塾長

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2015年07月15日

「雪の時間」

JYOTARO(中2)

 乾燥した空気、眩しくて熱いスポットライト。俺はここで演奏するために今まで頑張ってきた。
「…パチパチ、パチパチザー。」
 ステージに指揮者が入ってくると、静かだったホールが拍手でいっぱいになる。指揮者が客席に一礼すると同時に、俺たちは席に着いた。
 指揮者が構える。弦楽器以外のパートが楽器を構える。指揮者が四拍子にタクトを振ると、ホルンの勇ましい音色がホールに響いた。
 曲目は『アナと雪の女王メドレー森村オーケストラバージョン』で、この曲は、森村オーケストラ、略して森オケの卒業生の編曲家、井藤さんが森オケのために編曲してくれた大切な一曲だ。メドレー内容は、プロローグが『氷の心』で、その次が『雪だるまつくろう』、『レットイットゴー』、『生まれてはじめて』、そしてエピローグが『生まれてはじめて(リプライズ)』だ。
 ホルンの上からチューブラーベルの音が重なり心が踊る音色になる。指揮者も満足そうな笑みを浮かべる。曲が進む。六小節目になり、俺は楽器を構える。そして音を奏で始める。
 俺の座っている席はセカンドヴァイオリンの後ろの方の席で、オケを一望出来る席だった。そのため、オケメンの表情が一人一人しっかりと確認出来た。
 曲が進み、お客さんも待っていたであろう『レットイットゴー』が始まった。
 曲が始まるとホールが一段と静かになるのを感じた。出だしは映画同様ピアノのソロで、一人さびしく始まった。ヴァイオリンとフルートが後に続き、風を表現する。さらに金管楽器で歌の部分を奏でる。そして、サビに近づくにつれ、オケメンが指揮者をチラチラみ始める。サビに入るまで残り、二小節、百六十八ビートで刻まれるテンポはかなり速いが、みんなついて来ている。残り一小節、指先に力が入る。残り一拍、弦に指を乗せ準備する。そして力の入った体をサビと同時に解放する。心地良い脱力感の中で、最高のコンディション、最高のテンション、そして最高のメンバーで演奏する音楽はとても楽しい。俺はヴァイオリンを弾き続けた。


耳に聴こえても、目には見えない音楽を作文で表現するのはとても難しいことです。そこには単に作文の技術だけではない、感受性やセンスが求められてきます。作文冒頭、自分ではなくまず指揮者が入ってくる場面を持ってきたあたりに、センスの良さを感じました。コンサートの実際の流れを見ているようで、作文に書かれた場面に自然に入っていくことができたからです。また「ホルンの勇ましい音色」「心が踊る音色」などに見られるように、奏でられる音がどんな音なのか表現する中で、JYOTARO君自身の感覚から書かれた言葉が多く見られて感心しました。音を表面的に表現するのでなく、そこに感情も込められているような言葉の選び方に、感受性の強さを感じます。他の人には書くことのできない、JYOTARO君ならではの作文でした。

塾長
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2015年07月08日

リレーで深まったメンバーの絆

HARUNO(中2)

「これからお昼休憩です。お昼休憩が終わったあとの競技に出る人は、準備をしてください。」
 体育委員からのアナウンスが入った。
「やったあ。」
 お腹が空いていたため、お昼休憩のアナウンスでみんな喜んだ。私も嬉しい。でも緊張感の方が大きかった。次は、クラブ対抗リレー。ずっと朝練と昼練を頑張って来たため、ライバルの体操部には特に闘争心を燃やしていた。
 リレーの先輩が、席まで迎えに来る。緊張MAXだ。先輩と一緒に、更衣室へ向かう。私は、段々と涙目になっていった。更衣室へ着く。先輩から借りた全員おそろいのユニフォームを着た。入場門へ急ぐ。

「次は、クラブ対抗リレーです。」
 またも、体育委員のアナウンスだ。いよいよ始まる。まずは、文化部のリレーだ。演劇部・理科部・吹奏楽部…。どんどん、文化部のリレーが終わっていく。テニス部みんなで、そわそわしながら順番を待った。あ、もう始まる。文化部が終わった。まずは、バド部とフォークダンス部が争う。当然ながら、バド部が圧勝だ。また、体育祭のアナウンスが体育館に響き渡る。
「次のリレーは、第一コーステニス部。第二コースソフト部。第三コースバレー部。」
 どの部活もみんなおそろいのユニフォームを着ているせいか、とても強く見えた。
 私は三番目を走る。第一走者も第二走者も、中三の先輩で、クラブの中で一位、二位を争うほど速い。先輩の速さに魅了された、先輩の同級生がキャーキャー言いながら応援していた。どうしよう、抜かされたら。心配や不安な気持ちが、私の頭の中を駆け巡る。そんな時、同じ部の先輩が声を掛けてくれた。
「緊張してるでしょ?リラックス、リラックス。バトンゾーンに並んだ方が良いよ。」
「はい。ありがとうございます。」
 私は、ガクガクに震えた声で答え、バトンゾーンへ並んだ。一緒に走る先輩は、どちらも高校生で私より一回りも二回りも大きい。
 いよいよ、バトンを受け取った。バトンパス成功。第一関門突破。トラックを周って、転ばなければ第二関門突破だ。この調子で、進んでいけば、まず抜かされることは無さそうだ。無我夢中でその場を、駆け走っている私にはみんなの声援など全く聞こえない。最後のラストスパート。しかし、走る足音が段々と後ろから迫って来て強い危機感を覚えた。あぁもう、早くゴールに着きたい。魔法でゴールが近くなればいいのに。不意に、そう思った。そんなことを考えていたら、もうそこはゴールで、私は次の先輩にバトンを渡していた。
「高校生に抜かされずに、よく頑張ったね、お疲れ様。」
 先輩が、微笑みながら声を掛けてくれた。
「あ、はい。ありがとうございます。」
 私は、まだ終わった実感がなく、中途半端な返答しかできなかった。その直後、私はハッと思い出し、
「先輩、次の次ですよね!?頑張ってください!応援してます!」
 と付け加えた。
「あ、ありがとう。」
 今度は、先輩の方が緊張していて、先程の私みたいだった。
 リレーの選手が、ゴールへ向かっていく度に、順位が変動していったため最後まで全く安心できなかった。ハラハラ、ドキドキしていると、いよいよアンカー対決が始まった。
 行け。抜かされるな。この調子で頑張れ。私達は、声を揃えてアンカーの先輩を応援した。 

 結局、先輩は一位を最後まで死守することができた。
 順位発表。みんなが固唾を飲んで、見守る中、
「テニス部三位!」 
 というアナウンスが体育館に響き渡った。
「え!やったあ!」
 まず一番最初に、クラブのリーダーの先輩が口を開いた。その後に続いて私達も喜ぶ。周りを見たら、高校生の先輩がみんな泣いていた。
 クラブ対抗リレーが終わった。
「じゃあ、この後更衣室で反省会しようか。まあ、反省するっていっても体操部に負けたことが心残りなだけだけどね。」
 先輩が泣きながら笑っていた。
 みんなが更衣室へ集まる。
「先輩から一言お願いします!」
 メンバー全員で、リレーのリーダーの先輩にお願いした。
「テニス部は、どこよりも最初に練習を早く始めて、どこよりもハードに毎日頑張って来たよね。私は、三位っていう結果にすごい満足だから、何も反省が思いつかない。でも、また来年もこのメンバーでリレー出て、今度は体操部に勝とうね。お疲れ様!」
 先輩は、泣きすぎて何度も言葉を詰まらせた。それに、つられた私達も泣きそうになる。周りを見ると、ほとんどの先輩が涙をポロポロと出していた。この時、私はリレーのメンバーの絆がより一層深まったなと思った。そうして、今すぐにでも流れそうな涙を何度もこらえた。




 臨場感を出す練習のために書いてもらった作文です。リレーの出番を待つ間の緊張感や走っている最中の無我夢中な様子など、主人公をとても近くに感じることができ、臨場感たっぷりの作文になりました。
 さらに今回の作文では、気持ちを表す表現が豊富に盛り込まれていたことにも感心しました。「私は、段々と涙目になっていった。」、「先輩が泣きながら笑っていた。」、「何度も言葉を詰まらせた。」などが入ることで、心の揺れの大きさが登場人物の表情とともに伝わってきました。中高生の生き生きとした姿が眼に浮かぶ作品となりました。

塾長
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2015年07月04日

一瞬の逆立ち

BUNA(中1)

「ん〜っ」
 私は、足を九十度上に上げるのに精いっぱいだ。ふんばっても、バランスが取れなくて、すぐにでんぐり返しみたいになってしまう。でも、三点倒立だったから、まだましな方だと思う。もし、普通の倒立なら、初めからやろうと思っていなかったはずだ。
 家で練習しながら、私はそんなことを考えていた。ふと、私は体育の先生の言っていたことを思い出した。頭と両手を三角形に並べて、お腹とお尻を引っ込める。何度もやってみる。できない。十四回ほどやっただろうか。何も考えずにやったら、できた。すんなりと、ほんの一瞬だったけど、明らかにできた感じがした。
「ねぇ。今できたよ!見てた?」 
 私はママに言った。たぶん生返事だと思うが、ママは、
「うん。」
 と言ってくれた。
 その後、何度もやってみたが、一度もできなかった。結局、二十八回やって、できたのはこの一回だけだ。
 弟の冷やかしの声が聞こえる。それでも私は、その時は何も思わなかった。その時の私の頭の中は、三点倒立ができたということでいっぱいだったのかもしれない。

 次の日、学校の体育の授業で三点倒立のテストがあった。
「三秒で合格ね!」
 先生が言う。
「そりゃあ無理でしょ。」
 私はぼそっとひとり言を言った。
「補助つけてもいいけど、二点減点して、できないところがあるたびに一点ずつ減点していきます。」
 先生が言った。
 はしから先生がテストしていく。だんだん自分の番が近づいて来る。次は私の番だ。私はゆっくり恐る恐る足を上げるタイプだから、どうしても時間がかかってしまう。
「ピッ。」
 先生の笛の合図と同時に、私はゆっくりバランスを取りながら、足を上げ始めた。足がまっすぐ上に行ってから二秒ほど止まった。近いところまではいったが、三秒はできなかった。先生は点数を紙に書いて、次の人の所に行って、またテストを始める。
 その後、私は何度かやってみた。できたりできなかったりだが、一番長い時で、四秒くらいだった。
 私はただ、テストの時にこれができなかったことが悔しかった。




臨場感を出す練習のために書いてもらった作文です。
何度も練習してできなかった倒立がふとできてしまう瞬間や、体育のテスト直前の緊張感、そしてテスト本番と、いくつかの大切な場面の描写において、その様子をそばで見ているような印象を受けました。また、この作文を読んでいて、僕は子どもの頃に初めて自転車の乗れた瞬間のことを思い出しました。子ども時代を通り過ぎた人の多くが、この作文を読むと、懐かしい自分のある瞬間を思い出させられるのではないでしょうか。

塾長

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2015年05月07日

「三月に思う」

JYOTARO(中2)

 ピアノとバイオリンのデュエットが流れている空間で書く作文。正直、曲だけを聞いていたいが、そうも言っていられない。

 音楽に耳を傾けると、悲しげなビブラートの中にどこか温かみと、光を感じる。それは、まるで三日月が、これから満ち始めるようなかんじだった。

 さらに楽譜的に言うと、後ろで流れるピアノは、ただずっと無情に流れていく時のようだった。あれから四年の震災の復興を思わせた。

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この作文は3月11日前後に書いてもらったものです。通常とは違い、条件を色々と設定した中で書いてもらったものです。
条件は@タイトルを「三月に思う(想う)」にすること。A「再生」、「月の満ち欠け」、「循環」、の三つの言葉のうちどれか、あるいはそれに類する言葉を使うこと。Bその時教室に流していたクラシック音楽(グノーのアヴェマリア)のイメージを生かして書くこと。
日頃は音楽を聴きながら書くことなどありませんから、皆悩みながら書いていました。

JYOTARO君の作文は、短いながらも、音楽を実によく聴いた上で書かれた美しい文章です。バイオリンのビブラートにまで言及した生徒は他にいませんでした。旋律だけでなく音の揺れからも多くのものを感じ取っていることには少々驚きました。特に「ビブラートから光を感じる」というのは、彼自身楽器を演奏していることもありますが、彼の持っている感受性の豊かさから来るものでしょう。
JYOTARO君の作文を読んで感受性の大切さと、子ども時代に勉強すべきものについて考えさせられました。

追伸:「3月に思う」で書かせておきながら、ご紹介が5月になってしまいました。ごめんなさい!

塾長

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2015年04月16日

「桜と春」

CHIKARA(中3)

 自由が丘はたくさんの桜で彩られていた。その桜は雲のようにふわふわと咲き誇っていた。 

 桜は四季によって色や形が変わる。夏は緑色の葉が木を覆う。秋はその葉が茶色やオレンジ色となって美しくなる。冬はそんな美しい葉が落ち、さみしく木の幹や枝だけが残る。そして春は、つぼみがだんだんとふくらみ、暖かくなると一気に開花し、木は薄ピンクの小さな花に覆われる。桜はこの一年を繰り返す。

 きっと四季の中で桜が目立つのは「春」だろう。桜のイメージといえば、卒業式や入学式、花見などだ。どれも春に行われる。桜は花が咲いている春だけ、目立っている。

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 書き出しの「桜は雲のようにふわふわと…」という表現がとても好きです。桜の花が房のように集まり、さらにはもっと大きな柔らかなかたまりとなって咲いている様子をよく表せていると思います。
 また、四季を通して桜が生き続けていること、それでも注目されるのは春ばかりであることに触れるなど、CHIKARA君は目の前にある桜を見ながら、もっと長い時間軸で桜を捉えようとしています。そこには1年かけてコツコツと花を育て、一時だけ美しく咲く桜の儚さを感じました。
 今回は作文の書き方だけでなく、CHIKARA君が「ものの捉え方」においても成長していることがうかがえる作文でした。

塾長

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2015年04月07日

「夜桜」

KOTARO(中2)

 少し寒い夜。ひんやりとした風が少し吹いている中、花見に出かけた。

 桜はまだ満開になっていなかった。ベンチに座りながら、街灯と三日月にライトアップされている桜を、ながめた。

 暗い夜の中にある桜は、昼よりも大きく感じた。その間から見える月はとても小さく、そして、とてもやさしいものに見えた。白く弱く光る花びらと月はとても良い相性で、昼とは全く違うものに見えた。


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短い中にも丁寧な描写が多く見られ、中学生の男の子としては、とても繊細な部分を感じました。今回に限っては持ち前のユーモアを抑え、美しいものを正面から捉えた作文に、今後の可能性が広がったように思いました。これまでのKOTARO君とは違う面が出てきたようで嬉しく思いました。

塾長
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「まだ満開じゃないけど」

RIO(小5)

 公園の近くの桜を見ながらドーナッツを食べました。 

 桜は、まだつぼみのが多くて、色は、みどりやうすピンクでした。開いている桜の花は、やわらかそうな感じで、つぼみは玉子みたいだけど、先のところがとんがっていました。ちょうど光が桜にあたって、きれいでした。でも、もっと桜が咲いているといいなと思いました。

 桜をじっと見ていると、寒くなりました。

 少し移動して、次の桜を見ていると1本の細い枝に二十こぐらいのつぼみがありました。

 帰り道にきれいなこいピンクの桜があって、さっき見ていた桜とは、色がぜんぜんちがいました。

 今度は、満開の桜を見てみたいと思いました。


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この作文の頃は3月末で、桜はまだ5分咲きといったところでした。塾では毎年春になると花見をします。当然テーマは桜です。このクラスでは特に色や形について、絵を描くつもりでよく見た上で、作文を書くようお願いしました。
この作文ではピンクでも薄い色や濃い色があること、また光が当たった部分が特にきれいだったことなど、注意深く桜を見てくれていることが伝わってきます。「つぼみは玉子みたいだけど、先のところがとんがっていました。」など、RIOさん自身の言葉を使った表現の工夫も見られて、成長が感じられる作文でした。

塾長


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2015年02月26日

「父と子」

KAO(小6)

「ピロロロン♫」
 店内にはずらりと商品がきれいに立ち並んでいた。
「いらっしゃいませ〜。」
 そこには、父親とむすめのような店員さんがこっちを向いて微笑んでいた。
「父親とむすめみたいだね。」
 私はMISATOちゃんと話していた。すると、
「ピロロロン♫」
 新しいお客さんが入ってきた。
「いらっしゃいませ〜。」
 父親とむすめのような店員さんは見事にシンクロして同時に言った。
「すごっ!」
 私は思わず口にしてしまった。
 
 そんな事をしていると、
「どのお菓子にする?」
 先生がみんなを呼び止めた。
「どれにする?HARUNOちゃんはどのお菓子がいい?」
 HARUNOちゃんは困った顔をして答えた。
「何でもいいです。」
 みんなは、
「しょっぱい系か甘い系、どれがいい?チョコ系かグミ系はどっちがいい?」
 必死に聞いていた。そうしたらHARUNOちゃんは、
「グミでグレープ系」
 と言っていた。だからグレープ味のグミにした。

 先生はそれを持ちレジに向かった。するとあの店員さんが待っていた。やはり近くで見ても父と子に見える。やはりあの人たちは父親と娘だったのかもしれない。



この日のテーマはコンビニの店員さんを観察して作文に書くことでした。ほんの5分ほどの滞在時間、しかもこれといった大きな出来事が無い中で作文を書くのは難しいものです。作文を始めたばかりのころであれば「書くことがない〜!」などと言いたくなるテーマです。それでもKAOさんは『店員さんは親子ではないか?』という疑問を持ち、見かけだけでなく動作がシンクロするところまで見つけ、とても自然に作文に仕上げてくれました。途中、体験授業で初参加だったHARUNOさんにスポットを当てるあたりにも書くことに対する余裕が感じられます。日常を書いたちょっとした作文の中にも成長が感じられました。

塾長
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2015年02月21日

「月を見たら」

HAYUKO(小5)

 私たちは、公園に行った。みんなは、鬼ごっこをしていたが、私、SAKURAKOちゃん、先生はベンチに座ってゆっくり月を見ていた。鬼ごっこをしているみんなの声が聞こえた。
「だれが鬼?」
 それと、
「きゃー。」
 という声も。

 月を見ていた私はもみじの木を見てふと思いついた。
(そうだ。もみじの葉を月にかざしてみたらどうなるだろう?)
 そう思った私は、さっそく実行してみた。すると、もみじの指のようになっている先っぽから月の光がさしこんで光の窓みたいできれいだった。ふともみじの葉を見ると赤と緑が重なり合って夕日みたいですごくきれいで心がやすらかになった。
 次は桜の葉を持ってきて、月の下にかざしてみたら、桜の葉の皿に乗っかっている光のだんごみたいでおいしそうだったが、三つあったらよかったのにと思った。その桜の葉を見ると、それは日の出の景色みたいですごくきれいだった。
「行くよ〜。」
 と先生が言った。私はあわてて追いかけた。

 最後にローソンに入って、肉まんの所にいったら、ピザまんが月みたいで少々ゾッとしたけどおいしそうだった。




 前半部分、少し離れたところで鬼ごっこをする友達の声を書き、月を見ている自分たちと他のみんなとの距離感をまず表現しています。そして自分たちと鬼ごっこのにぎやかさを対照的に書くことで、HAYUKOさんの周りに流れる静かで穏やかな空気や時間を読み手に印象づけることができました。
 中盤では、自ら思いついて紅葉や桜の葉に月を透かして見るという、アイディアと創造性にあふれる行動が見られます。僕が授業中によく散歩をするのは、子どもたちに書くネタを提供するためなのですが、ここでのHAYUKOさんは、自ら考え作文の題材を作るという、作文クラスの生徒の中でも珍しくて素晴らしい、僕としては本当に嬉しい行動をしてくれました。能動的な態度は結果、そのまま作文の成功へと繋がっています。
 後半部分、月と葉のきれいな描写のまま終わるのかと思えば、ピザまんの話を持ってきてオチをつけてしまうあたりもHAYUKOさんらしくて良いですね。僕としては中盤のムードのままきれいに終わることも勧めたのですが(笑)
今回はHAYUKOさんの嗜好や感受性が短い文章の中にも感じられる作文でした。

※ これは12月の初めに書いてもらった作文で、ついつい載せるのが遅くなってしまいましたが、やはりとても素敵な作文なので今回掲載しました。

塾長

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2015年01月29日

「時間、止まれ」

KOTA(小5)

 十二月二十五日の朝、ぼくはいつも通りに起きた。理由は、もっと前にプレゼントが、届いていたからだ。ただひとついつもとちがうのは、今日、ぼくの一番の親友が千葉へひっこしてしまうことだ。
 いつもと変わらない準備をして、ふつうに学校へ行き、ふつうに授業を受け、ついにお別れの会の時間になった。
 お別れ会は、リレー、おにごっこ、ドロケイなど遊びをしたり、特別に理科の先生に軽いマジックを教えてもらったり、みんなで歌を歌ったりした。ぼくは、泣きそうになるほどさびしかったし、悲しかったが、それは、たぶんみなも同じなんだろう。他の友達のスピーチを聞いていて、そこでも泣きそうだったがぐっとこらえて、スピーチの続きを聞いた。他の友達がスピーチの中で「君のことはクラスみんな忘れないよ。」と言ったので、また泣きそうになった。
 ぼくはその時何度も時間止まれと願ったが、ものすごく意地悪な時間は、止まってくれなかった。止まってくれないのは、わかりきっていたがそれでも何回も時間止まれと願い続けた。
 願い続けたのに止まってくれなかった時間に、腹が立ったが、悲しみでそんな感情もすぐにかき消された。ぼくはこの時、初めて本当の悲しみを知った。その悲しさははんぱじゃなかった。
 お別れの会の最後にアーチを作る。アーチは教室から教室の出口までみなで作った。友達がアーチをくぐる。自分の近くに来た時、その友達との三つの思い出がよみがえった。
 一つ目はお互いの誕生日会に行ったこと。二つ目は公園でとりかごなどをして遊んだこと。三つ目は、けんかしては、仲直りを繰り返した思い出だ。
 友達がアーチをくぐり終わった。
 学校が終わり、共通の友達が二人加わり、帰り道四人で帰った。何か話そうと思ったが、何もネタが無かった。他の友達も同じようにネタが無いようだ。
 一人の友達がいきなり、プレゼントを出して、
「千葉でもがんばれ、はいプレゼント。」
 と言ったので、ぼくもプレゼントを出し、
「千葉でも、がんばれ。」
 と言いプレゼントを渡した。
 こうして、ぼくの一番の友達は千葉県へ行ってしまった。
 約一カ月たったある日、その友達が約一カ月後に遊びに来ると言う電話が入ったので、すごくうれしくなった。ぼくは今、他の友達十人といっしょに一番の友達を約一カ月待っている。一年の中で一番楽しみな日は、誕生日の三月八日から二月二十一日に変った。
「早く、遊びに来てほしいな。」
 と学校から帰る時にぼくは、つぶやいた。



 少年から大人へ、その過程で知る悲しみの意味や喪失感。それらが見事に描かれていました。まるで小学校高学年の少年達を主人公にした小説の最終章を読んでいるような切なさがこみ上げてきました。しかも最後には再会という希望の種をまいて終わるという憎い演出まで用意してくれるなんて。
 さて、今回の課題は「@いつも以上に気持ちを表現する。A内容は実際にあったこの冬の出来ごとから書く。」というものです。つまりこの見事にせつない少年達の物語は実話なのです。何年か経ってKOTA君が大人になった時にこの作品を読めば、自分がどれくらい純粋に友達の別れを悲しんでいたか思い出すことが出来るでしょう。そして友達や友情について悩む時、自分が信じるものや良いと思う感情を思い出すヒントになるでしょう。
 この作品を書いてくれたことだけでも、KOTA君がUEDA塾に来てくれた意味があったのではないかと思わされるほどの作品でした。二月に素敵な再会が果たせますように。

塾長

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2015年01月03日

「受験戦争に負けそうなそこの君へ」

AYATOMO(中3)

 School of lock(SOL)は、僕も聴いているTokyo FMの十代向けのラジオ番組です。いつもは、音楽のことだったり、聴いている人たちの相談にのったり、お笑い関係のこと、学校の部活のことで、ゲラゲラ笑いながら聴いていますが、十一月を過ぎると、番組の内容が受験一色になります。去年はゲストで「今でしょ」で人気になった塾講師林先生が来たり、今年も受験のためになることだったり、勇気づけられる言葉があったり、聴いていて無駄な時間はありません。一度聴いてみてはどうでしょうか?

 毎年、沢山の人が模試で「E判定」を取り、泣きながらラジオパーソナリティ(校長・教頭)と話します。でもその校長・教頭がお笑い芸人ということもあり、電話で話している人や全国で聴いている人たちを元気にします。またその電話の最後に「勇気の言葉」を校長・教頭が言って電話は終わります。そして、毎年沢山の人がこの間まで「E判定」だったのに、第一志望校に受かっています。

 今年の勇気の言葉はこれ……
『絶対合格』

 全国で今も自分自身と戦っている人がいます。そう、僕もその一人……。

 夜十時、これからもう少しがんばってみようと思っているそこの君!! 今日も聞こえてきますよ、ラジオの中から「絶対合格」。試験に緊張しているそこの君!! ラジオだけど、精神面も鍛えられます。

 僕も勇気の言葉を心に刻みました。くじけそうになったら叫んでみては……『絶対合格』。




2014年の年末、世界の誰かに宛てた手紙というテーマで書いてもらいました。

今の時代も受験生はラジオを聴くのですね。ちょっと懐かしく思いました。受験生はいつの時代も孤独です。なかなか結果が出ない中、不安や孤独と戦わなくてはなりません。そんな受験生の心に寄り添ってくれる夜のラジオ番組を聴いた受験生、聴いている受験生は多いはずです。この作文は、このようなラジオ番組を話題に持ってきたことで、今現在受験生の人にも、昔受験生だった人にも、共感しやすいものになったと思います。
さてAYATOMO君もまもなく受験本番。たまにはラジオを聴くのも良いでしょう。心身ともにコンディションを整えて、ベストな状態で受験に挑んでください!

塾長

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2014年12月28日

「世界各地のサンタさんへ」

TAKUYA(中1)

 お仕事お疲れ様でした。クリスマスは、サイフのひもが緩むでしょうから、いろいろと歳出が増えることと思います。
 
 サンタさんは無事上手くいきましたか?子どもの希望した物を届けましたか?子どもに隠れて準備するのはきっと大変なんでしょうね。

 私は11歳の時からプレゼントは来なくなりました。親の唯一の楽しみを奪ってしまったからです。母親に、
「サンタさんにお手紙書いたら?」
 と言われ、機嫌が悪かった私は
「サンタさんなんていないでしょ。」
 と言ってしまいました。今なら自分がいかにひどい言葉を発したかが分かります。きっと、親も準備してくれていたのでしょう。自分がいかに幼稚かが分かります。でも現役サンタさん、大丈夫です。他のクラスメイトは純真だったのでしょう。みんなサンタが来ていました。

 サンタクロースとは、プレゼントを通して子どもに夢を運ぶ仕事です。子どもはプレゼントを通して夢を受け取ります。これからも夢を届け続けて下さい。




年末を迎えるこの時期に世界の誰かに書く手紙、という課題で書いてもらいました。

大切さがようやく分かるようになったのに、それは既に失われてしまっていると気づく時、人は後悔や寂しさとともに、そこに強烈な愛おしさをも感じるものではないでしょうか。普通そういう感覚は、大人になってから青春時代や子ども時代を振り返って感じるものだと思っていました。しかしTAKUYA君の場合は既にそういう感覚を持ち合わせているようです。彼の大人びた部分がストレートに出た作文となりました。僕にも高校生の息子がいます。ですから元サンタクロースの一人としてこの作文を読みました。するとそこには少年の成長過程の痛みようなものが感じられ、もがきながら大人になっていく成長の様子が読みとれます。このようにして人は何かに気づき、ひとつずつ優しさを身につけていくのかもしれないと思いました。
さて、いつか自分がサンタさんになる時、今度は親としてどんなことを感じるのか、タイムマシーンがあれば未来のTAKUYA君にちょっと聞いてみたくなりました。

塾長


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2014年12月25日

「クリスマスプレゼントでたのんでいる物ではない物を送ってくるサンタさんへ」

HARUさん(中1)

今まで私には、何度かクリスマスにたのんだものと違うものが届くということがありました。

 私はこういうことがあると自分では、(たのんだものとは違うけど、まぁ物がもらえたからいっか。)と思っています。

でも、たまにたのんだものと全く的外れなものが届くことがあります。それはさすがにダメだと思います。だから今回こそは、もしたのまれたものが無かったとしても、少しは關係のあるものにしてください。




 クリスマスの季節を意識しつつ、この世界に住む誰かにメッセージを送ってください、という課題で自由に書いてもらいました。

読んでいて思わず苦笑いしているサンタさんも多いのではないでしょうか。多くの家庭で子どもが成長するにつれて
「今年はサンタさんに何を頼むの?」
「サンタさんにしか教えない!」
なんて会話が聞こえるようになります。そのくせ頼んだものと違うと親やおじいちゃん、おばあちゃんの元に苦情が来たりするのですから困りものです。
HARUさんの文章はそんなクリスマス事情を思いださせる、ちょっときついユーモアなのか、本音なのか、ギリギリの線で書かれていて分らないところが面白かったです。いずれにしても僕が掲載するのが1日遅れたので、今年の結果はもう出てしまっていますね(笑)次回HARUさんに会ったら、今年の結果を聞いてみたいと思います。

塾長

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「豪華な服を着て『自分は金持ちだ』と見せびらかし、優雅な生活をしている人たちへ」

CHIKARA(中2)

 先日、「芸能人の私服公開」というコーナーがあるテレビ番組を観た。その中で一番高い服を着て高らかに笑っている人がいた。その人は十一億円のものを身に付けていた。

 世界にはいろいろな人が住んでいる。一部には貧しい生活をしている人々がいる。僕は、そこは食べ物もなく、水も汚い最低な場所であるということを知っている。優雅な生活をしている人は、貧しい生活をしている人の状況を知っているのだろうか。

 人は金が欲しいから働く。一生懸命働く人は金持ちになる。金に余裕がある人は高いものを買う。そんな人は貧しい人の生活を知っているのだろうか。ちなみにあなたはどうだろうか。

 クリスマスには人にプレゼントをあげる。これを機に、自分に自分のものを買うのではなく、人のために何かするのはどうだろうか。一度皆さんも考えてみるといいかもしれない。




クリスマスの季節を意識しつつ、この世界に住む誰かにメッセージを送ってください、という課題で自由に書いてもらいました。

CHIKARA君の中で育ち始めている正義感や大人社会への憤りなどが溢れ出している文章に驚き、同時に成長を感じました。
富のために働くことを僕は誤りだとは思いません。でも富を得た途端にその使い方を誤る人が多いのではないでしょうか。CHIKARA君が今感じている憤りは、その誤った使い方に対するものだと思います。いつかCHIKARA君が大人になった時、何かに一生懸命打ち込みながら、今の感覚を忘れずにいてくれたら、きっと素敵な大人になって良い社会を作ってくれる人になれるでしょう。期待してます!

塾長
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2014年12月24日

「世界の権力者の方々へ」


SAYA(中2)

 世界には色々な問題が起きています。地球の温暖化や森林破壊、二酸化炭素の問題など。私はその中で貧困問題について考えました。

 12月25日は家族で集まって美味しいごちそうを楽しむ日なのに、ごちそうを食べられない人がいると思うと胸が痛みます。世界ではみんなが笑顔になる日なのに、笑顔になれない人もいます。

 私は権力者の方々が戦いを止めて、国同士が手を組み、貧困国や食に困っている人々に食料を分けてあげれば良いと考えました。そうすると、食料をもらった国の人々が笑顔になり、クリスマスの間だけでも幸せになることができます。

 こうして幸せの連鎖が続き、戦争なんて止めようなんてなったらとても素敵だとは思いませんか?



 クリスマスの季節を意識しつつ、この世界に住む誰かにメッセージを送ってください、という課題で自由に書いてもらいました。

「幸せの連鎖」。素敵な言葉ですね。皆が笑顔になり、幸せの連鎖が続けば、戦争をやる意味するなくなってしまうでしょう。SAYAさんの言う通りだと思います。
大人が子どもの頃を思い出すにはクリスマスは最高の時です。なんとか世界中のリーダーの方々が、子どもの頃のように自由な発想で、争いをやめる方向に舵を切ってはもらえないものでしょうか。もしそれが出来れば、それこそが次世代への最高のクリスマスプレゼントになるはずです。

塾長

posted by 塾長 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。