2019年10月31日

昨日のこと

SOTA(小5)

 ぼくのおじいちゃんは三回手術をしている。そのため普通の大人よりは歩くのがおそい。だからリハビリのために犬を飼っている。
 夏休みのある夕方、おじいちゃんと犬と一緒に散歩に行った。

 ガラガラガラ、ドアが開く。犬は、ベロを出しながら外へ出る。おじいちゃんは、回りを見る。犬はおじいちゃんの歩く速さに合わせる。ぼくだけは、公園にすぐ行きたいので早歩きで行く。
「はやくー。」
 と行って先に行く。
 公園につくと、もちろんおじいちゃんと犬がいない。
「足おそいなー。」
 と言って一人で公園で遊び始めた。ブランコに乗り、ゆらゆらとゆれながら空の入道雲を見たり、すべり台では階段を上りすべることを繰り返し、走り回ったりした。
 時計を見ると八分後、おじいちゃんと犬がやっと来た。
「ジュース買って。」
 とぼくは言う。おじいちゃんはつかれた顔で
「いいよ。何がいい。」
 と聞き、ジュースを買ってくれた。ぼくはジュースを
「ゴクゴク。」
 と飲む。その横でおじいちゃんは、つかれた顔をして、ベンチに座り、ため息をつく。犬はベロを出しながらぐたっと座っていた。
 その後、ジュースを飲み終わり、すぐぼくたちは、さっきと同じ速さで家へ戻り始めた。
 ガラガラガラとドアを開ける。またおじいちゃんと犬はいなかった。
「ただいま。」
 ぼくが言うと、おばあちゃんが
「おじいちゃんは。」
 と聞いてきた。
「足がおそいから後ろにいるよ。」
 とぼくは言う。そして二階に上がり、ふとんで横になった。その時、何かいやなことを言ったかなと引っかかった。
 ガラガラガラと音がした。窓から見下ろすと、おじいちゃんと犬だった。
 その時「はっと」目が覚めて気がついた。なぜあんなことを言ったのかと。おじいちゃんは何回も手術をした。だからあんなにも足がおそいのもあたりまえだ。
「明日のさんぽであやまろう。」
 とぼくは決心した。

 次の日、さんぽに行った。
「きのうはごめんなさい。」
 とあやまった。すると、
「いいさ、むしろ自分からあやまってくれるなんて、大人になったな。」
 と言ってくれた。いつの間にかぼくもおじいちゃんの足の速さに慣れ、同じ速さで歩いていた。
 そしていつもの公園でジュースを買って、ジュースを飲みながら帰った。
 ぼくたちは、きのうのことなど忘れたかのように、笑顔で話しながら帰って行った。




今年の夏の出来事を書くという課題に対して書かれた作文です。日常の中の風景を描いた短い作文ながらも、前半から後半にかけて、主人公の精神的な成長が感じられる素敵な一編でした。まだ小五のSOTA君が、自分の弱さを認め、それをしっかり書いているところに、まず感心します。前半に自分のことしか考えられない主人公を正直に描いたからこそ、最後の場面での成長が強く感じられました。孫の成長を喜ぶおじいちゃんのセリフもとても活きていますね。またそれ以外にも、季節感を感じさせる入道雲や犬の描写など、随所に工夫が見られて、文章を書く上でも順調な成長が感じられる作文となりました。今後も楽しみです。

塾長




posted by 塾長 at 14:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。