2017年12月24日

手袋

AYAMI(中2)、NOA(中2)、MAYUKO(中1)、BUNA(中3)

(起)
 「キャーッ」
 と私は叫びながらベッドから飛び起きた。
「今日はクリスマスだよ!」
 大声でそう言いながら、私は家族のみんなを起こし、部屋の隅々をかけ回り、プレゼントを探し始めた。

(承)
 見つからない。ソファの下、キッチンの引き出し、棚の上、考えられる所は全て探した。お母さんに笑顔で聞いてみる。
「ママー、プレゼントどこにあるの?」
 お母さんは微笑みながら言った。
「いい子にしてれば分かるよ。」
 それだけ言って、朝ごはんを用意し始めた。

(転)
 いい子にしてれば分かる?どんな所だろう。私はデザートのプリンを食べながら考えた。お母さんのお手伝いとか!さっそく私はお母さんのところへかけていった。
「マーマァッ!お手伝いする!」
 そう叫ぶと、食器を洗っているお母さんのところへ行き、ふいたお皿をしまい始めた。案の定、シンクの下に赤い袋があり、大喜びしながら袋を開ける。中には猫柄のマフラーと手袋が入っていた。本当は猫のぬいぐるみが欲しかったけれど、猫柄ならなんでも嬉しい。大急ぎで身につけて外に遊びにいった。
「やったー!ゆきだぁ!」
 急いで雪をかき集めて玉を作り、雪だるまを作り始める。少しして、赤くしもやけした手をゴシゴシこすりながらベンチに座っている女の子を見つけた。
「手、寒くないの?」
 その女の子に話しかけると、その子はびくっとしてから、
「…寒い。」
 とつぶやいた。
「ほら。これあげる!」
 もらったばかりの手袋を女の子に差し出した。
「…ありがとう!」
 女の子は弱々しく笑っていった。特に気にしせず雪だるまを作っていると、だんだん手が冷たくなってきた。
「寒いよ…」
 泣きそうになったその時、キュッ、とブーツを踏みしめる音が後ろでして、ポンと肩をたたかれた。

(結)
 びっくりして振り返ると、もっこもこのコートの、めちゃくちゃ暖かそうな格好をした白髪のおじいさんが立っていた。
 無言で、私に箱を差し出した。そのおじいさんの後ろから、トナカイが顔を出した。トナカイが。
「え?!」
 頭が混乱している。トナカイ?箱?おじいさん?ピンときた。サンタクロース。
「ありがとうございます。」
 箱を受け取る。ボックスティッシュぐらいの大きさの、クリスマス用の包装がされた箱を、ゆっくり丁寧に開ける。
「手袋。猫柄だ…。」
 思わず声に出た。
「ありがとう。」
 顔を上げると、そこには誰もいなかった。




リレー作文によるクリスマスの優しい物語です。
クリスマスが嬉しくて、プレゼントが楽しみで、起きた瞬間から大騒ぎする主人公の様子がなんとも無邪気で可愛らしく(起)、また主人公のお母さんも素敵な人で、ただプレゼントを渡すことなく、「いい子にしていると良いことがある」ことをさりげなく教えています。(承)
(転)では、大喜びしたはずのプレゼントの手袋を、寒そうにしている見知らぬ女の子に躊躇なくあげてしまう主人公の優しさが印象的で、(結)ではその善行がちゃんとサンタクロースによって報われるという結末が心地よかったです。
 短い時間で即興で書くリレー作文は、ストーリー上の矛盾が起こってしまうこともあるのですが、この作品は「いい子にしてれば分かるよ」というお母さんの教えが最後まで繋がって、見事にバトンが渡りました。よく書けました!

※リレー作文は、4人の生徒が起承転結のそれぞれのパートを受け持ち、即興で物語をつないでいきます。今回それぞれのパートに与えられた時間は5分から15分程度でした。

塾長


posted by 塾長 at 12:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。