2020年08月28日

空っぽ

CHIAKI(中2)

 今年の夏休みはどこにも行けない。だから、私は暇なときはいつもドラマを見ていた。ドラマはとても面白かったが、私は自分が楽しんでいるのかどうか、自分の気持ちがよくわからなかった。最近、自分がどう感じているのか、どう思っているのか本当に分からない。ドラマを見ていて笑うことだってある。でも、顔では笑っていても、本当に心の底から笑っているとは思えない。
 足を火傷して、水ぶくれができても、痛く感じなかった。部屋の掃除をしている時、大きなアルバムを足に落としてしまって赤く腫れたが、別に痛くなかった。痛みもあまり感じないし、気持ちもよくわからない。自分がどうしてこうなっているのかもわからない。とにかくいろいろなことがわからなくなってきている。
 今の私の心は空っぽ。中身が空っぽのプレゼントをもらった感じ。目の前は一面灰色で、うれしくも悲しくもない、空っぽな気分だ。




今年の夏休みの出来事を書くと言う課題に対する作文です。

動かなくなった自分の心の内側を覗き込み、触れてみて、空っぽの器のような状態を確かめながら、ポツリポツリとつぶやくように書かれた言葉からは、喪失感のようなものを感じました。具体的に何かを失ったわけではないにしても、本来なら心踊る時間があったはずのこの夏休み期間に、チアキさんをはじめ多くの子供たちは、有形無形の得られるはずだった何かを失い続けているのだと思い知らされました。決して楽しいものではありませんが、僕の心に突き刺さる作文でした。大人である自分に何ができるのだろうかと考えずにはいられませんでした。

塾長







posted by 塾長 at 13:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。