2018年12月23日

助けてサンタ!

YUKI(中3)、KOTARO.M(中3)、KOHAKU(中3)、OTO(中3)

< 起 >
 「ピッ。」
 改札でパスモをかざし、駅を出る。今年は暖かい日が多かったけど、さすがに12月にもなるとコートが手放せなくなる。
 駅の前ではクリスマスツリーが、飾られていた。

< 承 >
 俺はそのクリスマスツリーに近づいた。大きさはかなり大きくて、ライトアップされていて綺麗だった。周りにはたくさんのカップルがいた。俺には彼女がいなかったので胸が痛んだ。

< 転 >
 クリスマスの時期は毎年胸が痛む。六年間男子校の俺は、全くと言っていいほど女子に縁がない。たまに友達が「デートだ」と言って、俺は遊ぶのを断られる時がある。そんな時は一人で恋愛マンガを読んで妄想した。
 駅前のツリーを見て回っていた時だった。前の方から俺と同じように一人ぼっちで歩いている女の人がいた。あまりにも美人でつい俺は眺めてしまい、俺のハートは撃ち抜かれた。

< 結 >
 つい俺が見とれていると、彼女と目が合ってしまった。彼女がこっちに来る。
「やべっ。」
 俺は慌てて目をそらした。しかし、彼女は目を合わせてきた。
(あーせっかくのクリスマスに怒鳴られるなんてついてないよ。サンタさん助けて!)
「ねー君も一人?」
「へ?」
 怒鳴られると思っていた俺は、つい間の抜けた返事をしてしまった。
「君も一人なら一緒に回ろ。」
「あ、お願いします。」
 俺は彼女と大きなツリーを回ってイルミネーションを見た。
 一通り見終わったので、駅まで送ることにした。駅までの道で、俺はこの幸せの礼を天に向かって何度もした。
「じゃあね。」
「うん、バイバイ。」
 駅まで送ると、また一人になってしまった。
 帰り道、さっきまで気付かなかった寒さが、急に押し寄せてきた。でも、ホッカイロで温まらない奥の方が温められた。
 自分の部屋に帰って宵が過ぎる頃、
「やべ、LINE聞くの忘れた〜。」
 となるのを俺はまだ知らない。




クリスマスの心温まる物語を書いてください、という課題に対して、書かれたリレー作文です。この作品では、起と承をそれぞれ五分程度、転と結をそれぞれ十分程度という限られた時間の中で書いています。突然告げられた課題に対して物語を書き始めたり、初めて目にする文章に続きをつけたりする作業は楽ではありません。そんな中、四人がうまくバトンを繋ぎ、ちょっぴり幸せ感の漂う物語を作ってくれました。
「ホッカイロで温まらない奥の方が温められた。」という一文には他の多くの生徒が感心していたこともつけ加えておきます。
当塾に来たばかりの頃には、すぐに「書くことがありません!」「何を書いて良いかわかりません!」なんて言っていた生徒たちが、いつの間にか、どんな無茶振りにも対応して、短い時間でなんとか物語にしてしまう力がついたことをうれしく思います。みんな良く成長してくれました。さすが中学3年生!

塾長






posted by 塾長 at 18:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。