2019年04月26日

またね

GEN(小5)

 僕は一人で目の前の水そうをながめている。水そうの中には、金魚が四匹いる。ドキン、はくし、すいか、クキ、みんな楽しそうに泳いでいる。でも、本当は、もう一匹いた。

 お父さんが、金魚五匹を両手いっぱいにかかえた袋の中から、水そうの中に入れていた。金魚は水そうに入れられた後、中で元気よく泳いでいた。みんなうれしそうに泳いでいた。
「わ〜元気だな。」
 次の日は、昨日と同じくらい、とっても元気に泳いでいた。僕が、エサをあげようと思ったら、げんのすけが僕の所に、必死で泳いできて、エサをパクパク食べていた。かわいかった。
 異変に気付いたのは、その次の日の朝だった。なんだか、げんのすけが全然元気がなかった。僕は、ちょっと心配になってきた。
 その四時間後、僕が家に帰ってきたら、悲しそうにお母さんが、
「げんちゃん、金魚が死んじゃったの。」
 僕が水そうを見てみると、げんのすけが浮いていた。
 僕はずっと泣いた。
 それから、お父さんが帰ってきて、げんのすけを外に持っていった。その時、僕の家の前に住んでいる男の子が来て、
「どうしたの?」
 と聞いてきた。僕は、
「僕のお気に入りの金魚が死んじゃったんだ。」
 と答えた。そうしたら、
「残念だったね。」
 とその男の子は言った。
 お父さんが土をほった。金魚が土の上におかれた。そして、げんのすけは、ゆっくりと土にうめられた。僕は心の中で、
「またね。」
 と言った。

 僕は一人で目の前の水そうをながめている。水そうの中には、金魚が四匹いる。でも、僕の心の中には、今も五匹いる。




今回の作文では、現在のシーンから過去の回想に飛ぶ書き方に挑戦してくれました。冒頭と最後に書かれている場面が印象的で、今も水槽を眺めては、げんのすけ君を思い出しているGEN君の後ろ姿が目に浮かぶようです。また、げんのすけ君が元気な時の「僕が、エサをあげようと思ったら、げんのすけが僕の所に、必死で泳いできて、エサをパクパク食べていた。かわいかった。」という部分はとても素直で可愛らしい描写になっていて、GEN君がお気に入りの金魚との時間を楽しんでいた様子がよく伝わってきます。この楽しい時間が書かれていたからこそ、その後の悲しみが読む人に伝わりやすくなり、冒頭と最後の場面にはせつなさが加わったと思います。小さな家族のことを大切に思う、小学生の男の子の気持ちが上手に書かれた作文でした。

塾長




posted by 塾長 at 12:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 作文紹介
プロフィール
名前:塾長
自由が丘で作文教室を運営。
小学生から高校生まで広い年齢層の子供たちとともに、書かされるのではなく、書きたくなる作文を目指して活動中。